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2022/11/19

収入印紙とは? 使い方と注意点について解説します

経理業務を行う上で、収入印紙は欠かせないものです。しかし、経理業務に携わるまで収入印紙について知らなかったという方も多いのではないでしょうか。この記事では、収入印紙に関する基礎知識や注意点について解説し、実際に使うときに浮かぶ素朴な疑問にも答えます。ぜひ最後まで読んで、日々の業務にお役立てください。

 

 

収入印紙とはどんなもの?

収入印紙とは政府が発行する証票のひとつで、国に対して税金や手数料を支払う際に用います。印紙税法で「課税文書」として定められている文書を作成するときは、適切な金額の収入印紙を購入して貼り付けることで、印紙税を納付しなければなりません。このほかにも、法人や不動産登記のための登録免許税、国家試験の受験や免状交付のための手数料として、収入印紙が利用される場面があります。

 

似た言葉に「収入証紙」がありますが、こちらは国ではなく地方公共団体に対して税金や手数料を支払うものです。収入印紙よりも馴染みの薄い方が多いかもしれません。

 

 

収入印紙の使い方のルール

収入印紙を貼らなければならない書類である「課税文書」は、種類や内容が決まっています。詳しくは国税庁のHPに記載されています。(国税庁HP 印紙税額の一覧表

この記事では、経理において収入印紙を貼る機会が多い、領収書や契約書、手形について紹介します。

 

領収書

収入印紙を使う機会が最も多いのは、領収書への貼付です。記載金額に応じた金額の収入印紙を貼付しなければなりません。このとき、税込金額と税抜金額が記載されていれば、税抜金額で収入印紙の額を判断します。

 

 記載された受取金額  印紙税額
 5万円以下  不要
 5万円を超え、100万円以下  200円
 100万円を超え、200万円以下  400円
 200万円を超え、300万円以下  600円
 300万円を超え、500万円以下  1,000円
 500万円を超え、1,000万円以下  2,000円

 

(関連記事)領収書の発行・受取の基本とは?双方のポイントを押さえて業務をスムーズに

 

契約書

契約書の中にも、収入印紙が必要なものがあります。中でも請負に関する契約書は、会社によっては馴染みのあるものかもしれません。具体的なものには、工事や広告の請負契約書、俳優やスポーツ選手の専属契約書などがあります。記載された金額によって、印紙税額が以下のように定められています。ただし、建築工事に関するもので2024年3月末までに作成された請負契約書は、印紙税額が軽減されます。詳しくは国税庁のHPでご確認ください。

 

 記載された金額  印紙税額
 1万円未満  不要
 1万円以上、100万円以下  200円
 100万円を超え、200万円以下  400円
 200万円を超え、300万円以下  1,000円
 300万円を超え、500万円以下  2,000円

 

保有している土地を外部に貸している会社もあるでしょう。土地の賃貸借に関する契約書にも、契約金額によって適切な金額の収入印紙を貼り付けなければなりません。また、運送に関する契約書も収入印紙が必要です。日常的に発生する契約ではないため、判断が難しいこともあるでしょう。契約書を交わす機会があれば、印紙税の納付が必要な契約かどうかを確かめるようにしましょう。

 

 

手形

仕入先への支払に手形を使う場合や、得意先から手形で支払いを受ける場合もあるでしょう。手形にも収入印紙を貼り付ける必要があります。自社が約束手形を発行する場合は、必要事項を記載して支払金額に応じた収入印紙を貼り付けます。また、自社への支払として「振出人」が空欄の為替手形が回ってくることもあります。その手形の取り立てや割引き、さらに別の会社への支払に充てる場合は、自社が「振出人」の欄を埋めて収入印紙を貼り付ける必要があります。手形に関する印紙税額は、以下のように定められています。

 

 記載された金額  印紙税額
 10万円未満  不要
 10万円以上、100万円以下  200円
 100万円を超え、200万円以下  400円
 200万円を超え、300万円以下  600円
 300万円を超え、500万円以下  1,000円
 500万円を超え、1,000万円以下  2,000円

 

 

 

収入印紙を使うときの注意点

それでは、収入印紙はどのように使えばいいのでしょうか。ここでは、具体的な貼り方や知っておきたいペナルティについて解説します。

 

収入印紙の貼り方

収入印紙は切手のように裏にのりがついているため、水を付けて貼り付けることができます。領収書や手形は、多くの場合は収入印紙を貼り付けるための欄が印刷されています。貼った後は、書類と収入印紙に重なるように判を押します。この判は消印といい、シャチハタやゴム印で構いません。

 

誤りがあるとペナルティが課される場合も

本来必要な金額の収入印紙を貼り付けていない場合は「過怠税」が課せられ、本来貼り付けるべき印紙の3倍の金額を支払わなければなりません。ただし、指摘を受ける前に気付き、所轄の税務署にその旨を申し出た場合は、1.1倍の金額で済みます。とはいえ、本来必要のない金額を支払うことには変わりありません。文書を発行する際には、収入印紙が必要か、金額は正確かどうかをどうかよく確認しましょう。

 

 

知っておきたい収入印紙に関する豆知識

知識として知っていても、実際に収入印紙を使う際には疑問も浮かぶものです。ここでは、よくある素朴な疑問について答えます。

 

細かい金額の収入印紙しかない場合は?

例えば、1,000円分の収入印紙を貼り付ける必要があるときに、200円や400円などの細かい金額の収入印紙しかない、という場合もあるでしょう。このとき、必要な金額を満たしていれば、複数枚貼り付ければ問題ありません。

ただし、契約書や手形の見た目を経営者や上司が気にすることがあります。また、複数枚貼り付けるスペースが足りないこともあります。その場合は相談をして、必要であれば新たに購入しましょう。収入印紙の使用頻度を見ながら、枚数を決めてストックしておき、使ったら買い足すという仕組みを作っておくとベストです。

 

間違えて貼ってしまったら?

収入印紙を間違えて貼ってしまうこともあるかもしれません。消印を押していない場合や破損していない場合は、郵便局で新しいものと交換してもらえます。手数料として、収入印紙1枚につき5円かかることに注意しましょう。

 

収入印紙を貼る必要のないものは?

収入印紙といえば真っ先に領収書が思い浮かぶ人も多いでしょう。しかし、すべての領収書に収入印紙が必要なわけではありません。

・記載金額が5万円以下の場合
・電子データで領収書のやり取りをする場合
・クレジットカードやキャッシュレス決済の場合(その旨を記載しておく必要がある)
・相殺領収書

 

契約書に収入印紙が必要かどうかは、実質的な契約内容や読み取れる取引金額によって決まります。表題が「契約書」でなくても、内容が課税文書に当てはまれば課税されることもあります。国税庁のHPに細かい記載がありますが、わからなければ税務署に相談することがおすすめです。

少額の手形はあまり発行しないかもしれませんが、手形も10万円以下のものなら収入印紙は不要です。

 

 

まとめ

収入印紙の決まりは細かく、判断が難しいこともあるかもしれません。しかし、誤った使い方をすればペナルティを課せられる可能性もあるため、正しい知識を持って確実に処理したいものです。わからないことがあれば税務署に確認し、さらに日々の業務に生かしていきましょう。