経理お役立ちブログ

2025/4/23

スタートアップこそ経理アウトソーシングを活用すべき理由とは?

スタートアップ企業は、一般的に資金も十分でなく、また、経理要員をフル雇用するほどの業務量がないことも多いため、自社で経理業務を行うよりも経理アウトソーシングが適しています。限られたリソースで成長させる戦略の一つとして経理アウトソーシングの活用を検討しましょう。

 

 スタートアップ企業が抱える課題と経理アウトソーシング

 スタートアップ企業は、資金面で十分な余裕がないことが多いでしょう。バックオフィス業務である経理は、営業部門や開発部門と比べて優先度が下がりがちで、人材採用も後回しにされるケースも多く見られます。多くの給与を払うことができないため、優秀な経理人材を迎えることも難しくなります。かといって、教育研修体制も整っていないため、経験の浅いパートを迎えても、うまくいかないことも多くあります。

 その結果、スピーディーに正確な経理処理を行うことができず、資金繰りの見通しが立ちにくくなることもよくあります。経営判断も遅れ、事業成長にブレーキをかけるリスクも高まります。

 スタートアップ企業にとって経理アウトソーシングは、このような課題を回避し、限られたリソースで成長させる戦略の一つであるともいえます。

 

 

スタートアップの経理にありがちな5つの落とし穴

スタートアップが経理でつまずきやすいポイントは、事業成長のスピードに対して体制整備が追いつかないことに起因しています。ここでは、よくある5つの落とし穴を解説します。

 

創業期は代表が経理を兼任してしまう

創業期は代表が自ら経理を行うケースも多くあります。しかし、経理が得意でなければ、処理が正確でなかったり、後回しにしてしまうことになってしまいます。そのような場合には、結局、決算を迎えた際にあわてて専門家に頼らないといけなくなるでしょう。もし経理業務がうまく回ったとしても営業や開発に割ける時間が減り、事業成長の遅れに繋がってしまう可能性があります。

 

エクセル・紙ベースで属人化しやすい

経理の業務フローが構築されていない場合、請求書、給与明細、各種管理表など様々な経理書類を各担当者がなんとなくエクセルや紙で管理しているということも多く見られます。このような属人化された運用では、情報が分散しやすく、特定の人にしかわからない状態が常態化します。ミスがあっても気づくことが難しく、人の入れ替わりが発生した際に業務が引き継がれない、といったリスクも抱えることになります。

 

資金調達や補助金などに必要な数値がタイムリーに正しく出ない

スタートアップ企業の場合は、資金調達の機会が多く、また公的な補助金・助成金の活用も重要です。しかし、いざ申請をしようとしても、必要な財務資料が揃っていない、ということも多くあります。これでは、せっかくの資金調達のチャンスを逃し、事業成長を足止めしてしまうことにもなりかねません。

 

損益や資金繰りが不透明で意思決定が遅れる

売上が順調に伸びていても、現金の流れを把握できていなければ、黒字倒産のリスクすらあります。スタートアップ企業では、先行投資が必要な場面も多く、キャッシュイン・キャッシュアウトのタイミングを見誤ると、支払いが間に合わない事態にもつながります。

 

IPOや会計監査対応に耐えられる体制がない

スタートアップ企業の多くは、会社を成長させていずれIPOやM&Aなどを視野に入れていることでしょう。それに伴って監査法人などのチェックを受ける機会も生じます。このとき、過去の帳簿や証憑管理が不十分だと、財務諸表に信頼性がないとしてIPOやM&Aの機会を逃してたり、スケジュールが大幅に遅延することにもなりかねません。日々の経理業務を正しく行っておくことが、将来の飛躍を支える基盤となるのです。

 

これらの落とし穴を避けるためには、創業期からできる限り早い段階で経理業務の仕組み化と、必要に応じた経理アウトソーシングの導入を検討することが重要でしょう。経理を「守り」だけでなく、「攻め」の経営戦略として活用できるかどうかが、スタートアップの成長スピードを左右する鍵となります。

 

 

なぜ経理アウトソーシングが解決策になるのか?

スタートアップが抱える経理上の課題に対して、経理アウトソーシングは有効な解決策となり得ます。

 

経理業務の仕組み化と標準化が早期に実現できる

経理アウトソーシングを導入し、経理のプロであるアウトソーシング会社のサポートを受けることによって、経理業務の仕組み化・標準化を早期に実現することができます。

 

月次決算がスピーディーになり、経営の数字が早く見える

経理のプロに任せることで、経理処理のミスや遅れもなくなるでしょう。正確でスピーディーな月次決算をもとに、適切な経営判断が可能となり、資金調達のチャンスを逃すこともなくなるでしょう。

 

創業メンバーは本来の業務(開発・営業・資金調達)に集中できる

経理アウトソーシングを活用し、経理のプロに煩雑な日常経理(仕訳入力、領収書の整理、請求書管理など)を任せることによって、創業メンバーは本来注力すべき業務に集中できるになります。

 

雇用するコストと比較してもコスパが良い

創業直後は、採用コストをかけて、経理要員を雇用しても、その手を埋めるほどの仕事がないということも想定されます。幅広い業務経験のある人材でなければ、誰かが育成しなければなりませんが、教育体制が整っていないことも多いでしょう。採用・教育・雇用のコストと経理アウトソーシングのコストを比較すると、圧倒的に経理アウトソーシングの方がコストパフォーマンスがよくなるケースが多くあります。

 

 

 スタートアップが経理アウトソーシングを活用する3つのタイミング

スタートアップ企業が経理アウトソーシングを活用すべきタイミングは、大きく分けて次の3つがあります。

 

1. 創業直後

創業直後は、代表や創業メンバーが営業や開発などの本業に集中する必要があり、経理業務まで手が回らないことが多くなります。経理業務をアウトソースすることで、スタートアップ期のスピード感を損なうことなく経理の基盤を整えられます。

 

2. シリーズA・Bで急成長する時期

売上拡大や人員増加に伴い、取引数が増えることで経理業務が煩雑になります。また、次のシリーズや融資での資金調達も活発になるため、経理の体制整備は不可欠となってきます。このタイミングで経理アウトソーシングを導入すれば、月次決算やキャッシュフロー管理の精度が向上し、事業の成長に対応した体制が整えられます。

 

3. IPO準備段階

IPO準備を進めるにあたっては、会計監査や開示資料の作成など、高度な会計知識が求められる業務も増えてきます。専門性の高い外部パートナーに任せることでリスクを減らし、スムーズな準備が可能になります。

これら3つのタイミングでの活用が、成長スピードを維持しながら経営の質を高める鍵となります。

 

 

スタートアップが経理アウトソーシングを依頼する時のポイント

スタートアップ企業が経理アウトソーシングを依頼する際には、いくつか重要なポイントがあります。

 

スタートアップに強いかどうか

まず、自社のフェーズに合った業者を選ぶことが重要です。スタートアップに強い実績があるかを確認しましょう。

 

IT・DXに強いかどうか

スタートアップ企業の場合、これから業務を構築していくのですから、最新のITツールを活用して効率的な業務をしていくべきです。しかし、アウトソーシング先があまりITに強くなければ、従来ベースのアナログで非効率な業務になってしまう可能性があります。ITに強いか、DXのコンサルティングが可能かも重要なポイントとなるでしょう。

 

業務範囲は広くカバーしているか

業務範囲は経理アウトソーシング会社によってマチマチです。記帳代行はやっていても、請求管理や支払管理はやっていない会社であれば、記帳代行は任せることができますが、その他の業務は自社で行うか他の会社を探すかをしなければなりません。幅広い業務をカバーしていて、ワンストップで任せることができるアウトソーシング会社に依頼すると便利でしょう。

 

コミュニケーションの頻度や報告体制の確認

コミュニケーションの体制や報告頻度も事前に確認をしておきましょう。チャットで即時に対応してくれるのか、定例ミーティングがあるのかなど、自社にあったペースで連携できるかどうかが鍵となるでしょう。

 

成長フェーズにある企業だからこそ、信頼できるパートナー選びが経営のスピードを左右します。
スタートアップ企業に限らない一般的なチェック項目については、こちらの記事を参考にしてください。

(関連記事)経理アウトソーシングで失敗しないための委託先の選び方

 

 

まとめ

経理は“守り”の業務と言われますが、スタートアップ企業にとっては“攻め”の戦略的投資にもなるものです。限られたリソースの中で、成長スピードを落とさず、経営の見える化を実現するなら、経理アウトソーシングは有効な選択肢の一つとなるでしょう。迷ったらまずは小さく導入することも考えられます。ぜひ活用を検討してみてください。