経理お役立ちブログ

2024/9/23

資金繰りとは?経理担当者や経営者が押さえておきたいポイントを解説

資金繰りは、会社が存続していくためには重要です。しかし、「会計処理を行って損益はきちんと把握しているから大丈夫」と考える方もいるのではないでしょうか。しかし、損益の管理と資金繰りは別のものであり、損益上は問題がなくても資金繰りが悪化して倒産してしまう場合もあります。この記事では、資金繰りの概要と悪化のリスク、管理のためのポイントを紹介します。ぜひ資金繰りの重要性を理解し、日々の経営に役立ててください。

 

資金繰りとは?

資金繰りとは、企業の持っている現金や預金の動きを把握し、不足することがないように管理することです。資金繰りの状況は日々変化するため、継続的に管理する必要があります。

 

損益管理との違い

損益計算書や貸借対照表によって経営状況を管理しているからといって、資金繰りに問題が生じないとは限りません。十分な売上を計上していても、売上計上から入金までにはタイムラグがあり、支払時にお金が足りなくなる場合もあります。必要なタイミングに必要なだけの資金を確保するためには、損益の管理とは別に、資金繰りも行う必要があります。

 

キャッシュフロー管理との違い

資金繰り管理と混同しやすいものに、キャッシュフロー管理があります。資金繰りは、将来のお金の流れを考えて、適切に支払いができるようにするものです。一方でキャッシュフロー管理は、過去のお金の流れを把握し、経営の健全性や成長に関する評価をするために行うものです。キャッシュフロー管理によって過去の分析はできるものの、今後の支払いに備えることはできません。

 

 

資金繰りが悪化した場合のリスク

資金繰りが悪化すると、必要なタイミングで支払いをすることが難しくなります。以下では、資金繰りが悪化した場合に考えられるさまざまなリスクを具体的に見ていきましょう。

 

残高の低下への対策が遅れる

日頃から資金繰りをしていなければ、対策が必要となったときに急いで対応しなければなりません。日々資金繰りを行い、早い段階で現金預金の不足が予測できれば、支払いを待ってもらう、融資を受けるなどの対策を取れるでしょう。しかし、直前になってこうした対応は困難です。対応が遅れることで、早く気づいていれば可能であった対策も取れなくなります。

 

支払ができなくなる

資金繰りをしておらず、現金預金が不足しているまま支払日を迎えてしまうと、支払ができません。手形や小切手による支払いの場合は、「不渡り」を出してしまいます。不渡りはほぼすべての金融機関の知るところとなり、融資への審査が厳しくなります。6ヶ月以内に2度の不渡りを出すと銀行取引が停止され、、以後2年間は当座預金を使った取引ができず、融資も受けられなくなります。そうなると、事業活動を継続することが難しくなるでしょう。

 

信用が落ちる

期日にきちんと支払いができなければ、取引先からの信用を落としてしまいます。この影響により、取引が減少したり、停止したりすることも考えられるでしょう。また、口座残高の不足によって金融機関からの融資返済の引き落としができない場合も、企業の信用を損ねる原因となり、今後の融資判断に合う影響を及ぼす恐れがあります。こうした事態を防ぐためにも、日頃から資金繰りを行う必要があります。

 

黒字倒産する

資金繰りをしていなければ、利益自体は出ているにもかかわらず資金がないために起こる「黒字倒産」となることも考えられます。企業間の取引では掛取引が一般的であり、売上を計上してから入金されるまでに1~2か月かかることが多いものです。多額の売掛金が入金される予定であっても、その前に残高よりも高額の支払いが必要な場合は、支払いができず倒産してしまうこともあります。

 

 

資金繰りを管理するポイント

資金繰りを管理するためには、日々の資金繰り状況を把握するために資金繰り表を活用しましょう。資金繰り表をもとに分析し、必要に応じて対策を考えることが大切です。手元の資産や在庫なども有効に活用して、資金繰りの悪化を防止する必要があります。

 

資金繰り表を作成する

資金繰りをスムーズに行うには、資金繰り表の作成が有効です。過去の数値や確定している収入・支出などを記載することで、何のためにどれだけお金が動くのかを可視化できます。数字が明確になることで、資金繰り状況を判断しやすくなるでしょう。

 

分析し対策を考える

作成した資金繰り表をもとに、どのような対策が必要かを考えましょう。例えば、支払いに時に資金が足りない場合は、大口の取引先からの売掛金の入金を早めてもらうという方法があります。また、支払い先に期日を遅らせてもらい、別の取引先からの入金があってから支払うという方法も考えられます。金融機関に相談し、融資額を増やしてもらうことも方法の1つです。

 

こうした対策は急にできるわけではありません。日頃から資金繰りを管理しておき、時間的な余裕がある状態でなければ、取引先や金融機関による対応も難しいでしょう。

 

手元にある資産や在庫を把握する

資産や在庫に余剰のある場合は、売却によって資金繰りを改善することも一案です。長期間使われず眠っている資産やさばききれない在庫を早い段階で処分することで、価値が下落しないうちに現金化できる場合があります。自社の資産や在庫を把握し、時に見直すことでスムーズな資金繰りに役立てましょう。

 

 

まとめ

日々の会計処理やキャッシュフローの把握を適切に行っていても、資金繰りが悪化することはあります。支払いができなくなれば各方面からの信用を落とし、資金調達や新たな売上の獲得も難しくなるでしょう。こうした事態を防止するためには、資金繰り表を作成して管理する必要があります。一度失った信用を取り戻すことは難しいため、ぜひ資金繰りを日々の業務に取り入れましょう。