経理お役立ちブログ
2022/12/29
経理業務アウトソーシングの注意点や失敗しないためのポイント
経理業務のアウトソーシングはうまく活用すれば大きなメリットを得ることができますが、万能ではありません。経理業務をアウトソーシングするときの注意点を踏まえた上で、アウトソーシングをする必要があるでしょう。今回は経理業務をアウトソーシングするときの注意点や失敗しないアウトソーシング会社を選ぶためのポイントについて解説します。
経理業務をアウトソーシングするときの注意点
経理業務をアウトソーシングするときは、次のようなアウトソーシングの特徴について把握しておく必要があります。。
注意点1:社内と同じように情報共有することはできない
通常は情報セキュリティの観点から、アウトソーシング先にはアウトソーシングに必要な最低限の情報を提供することになるでしょう。
社内であれば広く共有されている情報をアウトソーシング先は持っていないということがあります。また、社内であれば、わからないことがあれば知っている人にすぐに聞くことができますが、アウトソーシング先は気軽なコミュニケーションが取りにくく、情報の共有に制約があるということに注意する必要があります。
注意点2:アウトソーシング先は指示に基づた業務しかできない
アウトソーシングは、委託先の指示に基づいて業務を行います。アウトソーシング先が勝手に何かを考えて、指示から異なった業務を行うことはありません。
そのため、指示が的確でなかったり、曖昧だったりすると、意図していない結果となる可能性があります。また、アウトソーシング先は基本的には何かを判断するということもできません。もし、判断を求める業務があるのなら、判断指針・判断基準を明確にしておく必要があります。
このような特徴から、アウトソーシング先はイレギュラーな問題が起こったときの対応が苦手であることに注意が必要です。
注意点3:アウトソーシング先は社風や文化を理解していない
アウトソーシング先は、自社とはまったく違う環境にありますから、当然、社風や文化、理念などを共有しません。また、それらの共有を求めることも難しいと思います。
共通の風土がないため、阿吽の呼吸のようなものを求めることはできません。
経理業務をアウトソーシングでよくある失敗
経理業務のアウトソーシングでよくある失敗事例を紹介します。
スケジュールどおりに進まない
ちょっとした資料の不備による差し戻しや期限超過など、社内ならすぐに対応できそうな問題でも、アウトソーシングをしていると、アウトソーシング先に連絡した上で処理されることを待たなければいけないこととなります。
その結果、業務がスケジュールどおりに進まない、ということが起こります。
やって欲しい業務が進んでいない
委託している側からすると「ここまでやってくれて当然」と思うようなことでも、アウトソーシング会社からすると「明確な指示がないためやっていない」ということがよく起こります。「言った言わない」という問題もよく起こります。
このように、業務範囲が記録に残る形で明確になっていない場合には、やって欲しい業務が気づいたら進んでいない、ということが起こります。
意思疎通がうまくいかない
委託する会社とアウトソーシング先で実際に作業をする人との間で直接のコミュニケーションが取れない場合は、伝えたいことがうまく伝わらず、求める結果があがってこない、ということが起こります。
経理業務のアウトソーシングを成功させるためのポイント
それでは経理業務のアウトソーシングを成功させるためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
ポイント1:契約前にアウトソーシング先の担当者の能力をチェックする
アウトソーシングする場合は、通常、アウトソーシング先の窓口の担当者と業務の打合せを行い、その担当者が社内の作業者に指示をすることとなります。委託する側の会社が、アウトソーシング先の作業者に直接指示することはあまりありません。
そのため、窓口となる担当者の能力が大きく影響してきます。
こちらの伝えたいことがうまく伝わらない、委託した業務の品質が低い、などという問題はアウトソーシング先の窓口となる担当者の能力に依存する部分があります。契約前に何度も面談して、アウトソーシング先の担当者の能力を判断しましょう。
ポイント2:アウトソーシング先の品質管理体制をチェックする
実際の業務の進め方は委託する先の会社によってマチマチです。中には業務品質の低い会社もあるでしょう。そのような会社にアウトソースした場合は、業務が正確に行われなかったり、期限通りに行われないということもあるでしょう。
委託した作業は誰が行い、どのようにチェックされるのか、情報管理体制はどうなっているかなどを確認しておきましょう。
ポイント3:アウトソーシングに合わせた形の業務プロセスに見直しする
既存の経理業務の業務プロセスをそのままアウトソーシングに落とし込もうとしてもうまくいかないことがあります。
例えば、既存の業務プロセスのそのまま当てはめると、自社→アウトソーシング会社→自社→アウトソーシング会社と、何度もキャッチボールが必要になってくるような場合、そのままであれば情報のやりとりの回数が多く、効率化にならないこともあります。
情報のやりとりの回数を減らし、できるだけシンプルとなるような経理業務プロセスにすることが必要でしょう。
また、先ほど説明したとおり、アウトソーシング先はイレギュラー対応が難しいため、イレギュラー対応をできるだけ少なくなるように業務プロセスを設計し、起こったときの対応方法までを明確にしておく必要があります。
ポイント4:役割や責任を明確化する
アウトソーシング先としっかりと打合せをして、問題のない業務を設計したつもりでも不測のトラブルが起こる可能性はあります。
問題が起こったときの対応のためにも役割と責任を明確にしておかなければなりません。
業務定義書、業務記述書、フローチャートなどの文書を作成することが有効です。
ポイント5:関連部署にも理解を求めておく
経理業務をアウトソーシングする場合には、関係する部署にもそのことを周知しておきましょう。場合によっては、関係部署からアウトソーシング先に直接連絡してもらうようにすることで効率化を図ることができる場合もあります。
ポイント6:アウトソーシング先とのコミュニケーション方法を決めておく
これまで説明してきたとおり、アウトソーシングを成功させるためには意思疎通が重要となってきます。そのため、スムーズに意思疎通を取ることができるようなコミュニケーション方法が必要です。
チャットツールやweb会議の利用も有効ですし、いざという時はすぐに担当者と電話が繋がるようにしておく必要もあるでしょう。
ポイント7:無理のないスケジュールを組む
アウトソーシングには情報をやりとりする時間が必要になります。あまりガチガチにスケジュールを組んでしまうと、スケジュールどおりにいかない、ということが起こってしまいます。少し余裕を持った無理のないスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
逆に考えると、極めてタイトなスケジュールの中で行わないといけない業務はアウトソーシングには適していないと言えるでしょう。
ポイント8:自社でも一定のチェックは必要
アウトソーシング会社に委託しているとはいえ、あくまで自社の業務。完全に任せきりにするのではなく、ポイントポイントで自社のチェックを行うことも重要です。
まとめ
経理業務をアウトソーシングするときの注意点やアウトソーシングを成功させるためのポイントについて解説しました。経理業務の効率化の方法として大きなメリットのあるアウトソーシングですが、注意点もあります。それらを把握するして、ポイントを抑えたアウトソースを行うことが成功させるために重要となるでしょう。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
(関連記事)経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット