経理お役立ちブログ

2023/2/4

経理業務の属人化脱出の第一歩はマニュアル作りから

会社では、誰かがいる時しか仕事が上手く回らないという環境、いわゆる業務が属人化している状態は、非常に危険です。これはマニュアル化されていないことが根本的な原因といえます。

また、マニュアルが存在していてもそれが形骸化されている場合は、マニュアルではないと考えて然るべきでしょう。

 

ここでは、正しいマニュアルの必要性や、マニュアル作成の手順をご紹介します。

 

 

経理業務のマニュアルを作るメリット

人は誰しも縛られることを嫌います。しかしそれと同時に、縛られることが無ければ正常に行動できない一面もあるのです。マニュアルとは、人の行動のバラツキのある一面を、誰でも同じようにできるようにすることを目的の一つとしています。

 

 

具体的なマニュアル化のメリットを、見ていきましょう。

 

教育時間が削減できる

企業で人材を雇用したり、移動や転勤があった際、教育が必要となりますが、マニュアルが存在していれば「マニュアルを渡すだけ」で仕事をスタートできます。

 

言われなければ何もできない状況を回避できるため、人材それぞれの認識能力やスキルの違いを埋めることができます。

また、マニュアルベースで業務をすることで、度重なるチェックや、業務の属人化を防ぐことができるようになります。

企業側から見れば、これはいわゆる教育コストの削減に該当し、マニュアルの存在の重要性に注力することは当然のことといえます。

 

 

業務の品質が保たれる

マニュアルを作成することで、業務の品質が保たれます。

マニュアルとは、初めて作成された時からそのままの内容になっているものではありません。問題があると判断した場合は、反省、改善、テストを繰り返しています。

つまり、現在存在しているマニュアルは、PDCAを繰り返して、より良い内容として存在しているものです。業務の品質が、最低限でも保たれる内容に仕上がっていると解釈できます。

マニュアルに完成という概念はありませんが、既存のマニュアルを共有することの有効性は、業務の品質維持へ寄与していると考えてよいでしょう。

 

業務の引継ぎがスムーズになる

マニュアルがある場合とそうでない場合の引き継ぎ業務は、煩雑さの違いもあれば、その後のリスクの違いもあります。人が人へマニュアルベースで引き継ぐ場合、そこに齟齬が生じることを極力防ぐことができます。

例えば、1人の人材が自分の経験則で引継ぎをした場合、引き継がれた側は、1人の経験をベースに次の引き継ぎを行うことになるでしょう。

マニュアルが存在していれば引き継ぎ内容に疑問が生じるケースはありますが、一定の情報が伝わります。口頭のように、内容の正誤性を確認する手段が無くなることはありません。

だからこそ正しいマニュアルベースで引き継ぎを行う必要があります。引き継ぎ業務自体もスムーズに完了するというわけです。

 

 

 

経理業務を効率化するマニュアルの作り方

マニュアルに求められることは、人材をペルソナとして考え、今後誰もが同じように業務に従事できる内容であることです。

 

・分かりやすいこと

・誰しもがマニュアルの存在に意義があると認識できること

 

つまり上記2点を重視して、作成する必要があります。

 

わかりやすいマニュアルとは

わかりやすいマニュアルとは、明確であることといっても過言ではありません。特に「5W1H」を意識して作成することがポイントです。

誰が、何時、何処で、何を、何故、どの様に。自分なら人に説明する時にどう伝えるかをイメージすると、5W1Hをベースに伝えようとするはずです。そして、伝えられる側も5W1Hが身に付いているため、理解が早まります。

 

また、マニュアル作成時は「フローチャート(図式)」の導入も前向きに検討するようにしましょう。

これはマニュアル理解の早さに大きく影響するためです。マニュアルを読む側からして「どんな業務も細かく分ければ難しいことは何もない」ということを認識できる必要があります。

そしてこのために重要なもう一つのポイントは、難しい表現を使わないことです。あえてわかりやすい表現を使用することで、マニュアルをよむハードルを下げましょう。

読みやすいマニュアルは、モチベーションのアップにもつながり、マニュアルの重要性を共通認識することにつながります。

 

マニュアル作成の手順

マニュアルは、フローチャートを意識して細かく分けて解説すると理解が早まります。

まず、目次と構成という大外枠を設定して、見た目に業務の範囲や順番を理解しやすくします。目次は順番を早々に理解し、構成は社内連携の構図や段階別で何をすべきかを理解することにつながります。

また、見た目は業務的な流れの理解のためだけでなく「視認性」の面も意識しましょう。

人間心理として、色使い、フォント、配置などは、たとえマニュアルの内容が同じであっても理解に大きな違いを生み出します。おざなりにされがちですが、徹底してこだわるべきポイントです。

 

目次と構成の下層には、細かく分けた説明をわかりやすい表現で記述するようにします。

 

最後に、マニュアルは実践しなければ意味がありません。そして実践の中で改善点が発生します。改善点が見つかった場合はその都度マニュアルを改修して、誰しもが正確に業務を遂行できるように成長させていくようにしましょう。

 

 

 

マニュアル化できる業務の仕組みを作ろう

マニュアルというものは想像だけで作られるものではなく、先に実践ありきで少しずつ作られていくものです。

失敗し、改善し、その後の成功や成長を確認していく中で仕組みができて、そして仕組みに基づいてマニュアルが完成します。

多大な労力を割くことになるわけですが、いざマニュアル化された後の効果も同じくして多大な功績を残します。マニュアルによって企業の成長や業務の効率化にレバレッジがかかるとイメージすれば、仕組化を可視化したマニュアルの存在は欠かせないことが分かります。

 

 

 

まとめ

経理業務のマニュアル化の必要性や作成方法について解説しました。やはり業務が属人化している状態というのはとても危険です。また、マニュアルがないと経理業務のアウトソーシング(経理代行)を利用しようとしても、うまくいきません。初めから完璧なマニュアルを作ることは難しいでしょうから、形にこだわらず、時間をかけて少しずつマニュアルを作成するという考え方で進めていくとよいでしょう。

経理業務の属人化の危険性についてはこちらの記事を参考にしてください。

(関連記事)属人化している経理業務の問題点とその対応方法