経理お役立ちブログ

2023/5/18

経理書類の保管方法を確認しよう!適切な方法を知って効率アップへ

経理業務を効率化する方法の一つに、書類の保管方法を見直すことが挙げられます。書類によっては、紙ではなくデータでの保管が可能なものも出てきました。2022年に電子帳簿保存法が改正されたことで、ペーパーレス化がさらに進んでいます。書類の保管期間やを確認して適切な保管方法を理解し、経理業務の効率化につなげましょう。

 

 

経理書類の種類と保存期間

経理書類の保管方法を解説する前に、それぞれの経理書類の保管期間を確認しておきましょう。法律によって保管期間が決まっていますが、法人と個人事業主とでは根拠となる法律と保管期間は異なります。

 

法人の場合

法人の場合の保管期間は以下のように定められています。

会社法と法人税法の両方で保管期間が定められている書類は、保管期間の長い会社法に従って10年間保管します。注文書や納品書については会社法では定められていませんが、貸借対照表や損益計算書などの内容の根拠となるものであるため、一緒に10年保管しておくと安心です。

 

個人事業主の場合

個人の場合の保管期間は以下のように定められています。申告の種類によって保管書類や保管期間が異なるため、自分はどちらに当てはまるか確認しておきましょう。

 

 

適切な保管の重要性

経理書類は日々たまっていくもので、1年分は膨大な量になります。管理に手間がかかりますが、適切に管理しなければならず、業務の効率にも影響します。経理書類を適切に保管する重要性についても確認しましょう。

 

税務調査への対応

経理に関する過去の書類が必要となる機会に、税務調査が挙げられます。過去数年分の帳票などをチェックされるものであるため、年度が終わったといっても処分してはなりません。書類がそろっていなければ税務調査官への心証に影響し、「何か隠しているのではないか?」と疑われる可能性もあります。スムーズに税務調査を行うためにも、書類の保管はきちんと行いましょう。

 

税法・会社法での保存義務

経理関連書類の保存は、法人の場合は会社法や法人税法、個人事業主の場合は所得税法で保管期間が決められています。

会社法では、書類の保管義務を違反した場合は100万円以下の過料が課せられるとの記載があります。しかし、会社法を違反していると確認するための、税法でいう税務調査のような調査がある訳ではありません。また、税法上では帳簿保管義務を違反した場合の罰則は定められていないのが現状です

だからといって保管しなくてもいいという訳ではありません。法律違反としての罰則が科せられなくても、上で触れた税務調査で指摘されれば重加算税が課せられることもあります。日頃から適切に書類を管理しておきましょう。

 

過去のデータなどを確認する際に必要

取引先との契約や過去の取引を確認するために、過去の書類を確認することもあるでしょう。適切に保管されていなければ、必要な書類を見つけるのに時間がかかってしまい、業務効率に影響します。そもそも書類を保管していなければ確認できず、後々困ることになります。

 

 

経理書類の保管方法は3つ

経理書類の保管方法は主に3つあります。従来の紙での保管のほか、電子データでの保管もできるようになってきました。データで保管するには満たすべき要件があるほか、義務化されているものもあります。最新の情報を把握して、適切に効率よく保管しましょう。

 

原本を紙で保存

ペーパーレス化が進んでいますが、紙の書類を使っている会社は現在も多いものです。請求書や納品書などを紙で受け取った場合は、そのままファイリングするのが簡単な保管方法です。ただし、種類別にファイルを分けたり、年度別にまとめたりと分かりやすく探しやすく整理しておきましょう。

 

紙をスキャンしてデータ保存

2022年に電子帳簿保存法が改正されたことにより、取引先から受け取った書類をスキャンしてデータ形式で保管するための要件が緩和されました。以前は税務署への事前申請や社内規定が必要でしたが、現在はタイムスタンプを付与し、日付・取引先・金額で検索できるように保管すればよいことになっています。タイムスタンプが一つのハードルとなりますが、タイムスタンプ付与機能のあるシステムを導入することで保管の条件を満たすことができます。

電子取引で届いたものをデータ保存

2022年の電子帳簿保存法の改正では、電子取引によって受け取った書類の電子保存が義務化されました。電子取引とはインターネット上でのやりとりのことです。メールで届いたものやインターネット上でダウンロードしたものは、電子データのまま保管しなければなりません。そのため、紙に印刷して保管することは原則認められないことになりましたが、電子保存への対応ができない場合は2年間の猶予期間が設けられました。しかし、2024年1月からは、電子取引でやり取りをしたデータについて、電子保存がすべての事業者に義務化されます。確実に準備を進めましょう。

 

 

データ保存によって業務効率化が図れる

従来は経理書類を紙で保管することが原則でしたが、電子帳簿保存法が改正されてペーパーレス化の流れが後押しされています。紙での保管にはスペースや紙代・インク代などが必要でした。しかしデータでの保管によって、これらが不要となります。また、データでの保管を行うには検索しやすい仕組みの要件があり、これに従って保管することで必要な書類をあとから探しやすくなります。つまり、書類をデータで保管することでコストや手間を削減でき、効率化につなげられるという大きなメリットがあります。

(おすすめ関連記事)電子帳簿保存法とは?内容や対応の要点を分かりやすく解説します

 

 

まとめ

経理書類は種類や量が多く、紙で保管するにはさまざまなコストがかかるものです。データで保管することで効率よく管理できるでしょう。保管期間やデータ保存のための要件を確認しておくことも重要です。電子取引によって受領した書類のデータ形式での保管が義務化され、今後データでの保管の対象となる書類はさらに増えると考えられます。時代の流れにスムーズに対応していくためにも、書類の保管方法を一度見直してみてはいかがでしょうか。