経理お役立ちブログ
2023/11/30
経理の人事評価制度はどう作ればいい?やる気を引き出す仕組みづくり
経理はミスがなくて当たり前とみなす会社も多く、売上のような数字で結果が出る職種ではありません。そのため、マイナスの評価はあってもプラスには評価されにくいと感じている経理担当者は多いものです。同じ理由から、経理への評価のしかたに悩んでいる経営者や管理職の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、人事評価制度を設けることのメリットを確認し、経理の人事評価を行う上で知っておきたいポイントを紹介します。ぜひ経理の評価制度を考えてみてください。
人事評価制度を設ける効果
経理の人事評価制度を具体的に考える前に、評価制度を設けた場合に期待できる効果を理解しましょう。
モチベーションの向上
人事評価制度を設けることで、従業員のモチベーションアップが期待できます。日頃の業務への取り組みが認められれば、従業員は「もっと頑張ろう」「ほかにできることはないか」とより前向きに業務に取り組むようになるでしょう。正当に評価される制度があることで、モチベーションの向上につながります。
特に、経理は成果が数字で表れにくい職種であるため、日々の取り組みが正当に評価される制度がなければ、評価や成長を実感することが難しい傾向にあります。正当に評価されることで、自信や意欲につながります。評価が報酬やインセンティブにつながる仕組みがあるとよりいいでしょう。
業務効率化
高い評価を得られる項目や基準がわかっていれば、従業員はそれに向かって努力するでしょう。業務の優先順位を付ける基準もわかり、無駄や無理を省いて仕事を進めようとするでしょう。よりスムーズに目的や目標が達成できるように、効率的に業務に取り組むことが期待できます。
人材の育成
会社の評価基準には、会社の求める人材像が反映されるものです。評価制度を設けることは、従業員に成長の方向性を示すことともいえるでしょう。従業員が自発的に会社の求める人材になろうとすることは、会社の人材育成にもつながります。
会社の理念や考え方に沿った評価基準を設けることで、自社に合った優秀な人材を育成できるでしょう。従業員もどうすれば成長できるかがわかるため、離職の防止にもつながります。
経理の人事評価のポイントは?
経理に求められることは多くあります。人事評価を作る際には、自社の経理にどのようにあってほしいかを考えるといいでしょう。求める人材像から評価基準を作ることで、経理の行動指標となる、自社に合った評価体制を構築できます。
コミュニケーション・情報収集
経理は社内のあらゆる数字を扱うため、営業や製造、開発などと部署を超えたコミュニケーションが必要な場面が多い職種です。一般の従業員から経営層まで、やり取りする相手もさまざまであるため、円滑なコミュニケーションの中で情報を収集する能力が必要です。
経営者視点
経理は数字を通して社内のあらゆる内情を把握できます。経営層とコミュニケーションを行う機会も多いため、経営者の考えを理解しながら、自分も経営者視点で提案したり意見を言ったりできるといいでしょう。
スケジュール管理
経理業務には日時・月次・年次など多くの締め切りがあります。そのため、先を見越して業務のスケジュールを組み、その通りに勧める力も必要です。また、突発的に業務が発生した場合に、スピード感を持って業務を完了できることも、経理に求められることの一つです。
提案力・課題解決能力
与えられたルーティーンの業務をこなすだけでなく、「もっと効率的にするには?」「もっと良くするには?」と考え、提案したり解決を図ったりする能力も大切です。経理業務の自動化や電子化など、自ら考えて柔軟に対応する姿勢も評価のポイントの一つです。
知識
簿記や会計の知識は経理業務の基本となります。加えて、自社の商品や原料、業務プロセスなど、会社に関する知識を理解しておくことも求められます。幅広い知識を活かしながら、日々の経理業務を行うことも大切です。
経理業務に役立つ資格を取得した場合に加点するような評価方法も考えられます。
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人事評価制度の作り方
人事評価制度には会社が従業員に求めるものを反映します。経理の担当者自身も、明確な方向性を持って取り組めるものにするといいでしょう。
階層を設定する
まずは役職や経験年数などによって、人事評価の階層を設定します。階層によって業務の内容や役割は異なるため、評価のポイントも異なるでしょう。例えば、新入社員は1等級、入社5~10年目の従業員は2等級、入社10年目以上で役職のある従業員は3等級などの区分ができます。自社に合った区分のしかたを考えましょう。
評価項目と基準を考える
次に、階層ごとの評価項目を決める必要があります。それぞれの階層の行う業務を細かく把握したり、会社が従業員に求める姿勢を定めたりして、それぞれに対して評価の基準を設けます。例えば、最低限の業務を行った場合を「3」として、達成度や習熟度が低ければ「2」や「1」、積極的に提案したり効率的に業務を遂行したりした場合は「4」や「5」など、5段階で評価するような方法があります。
それぞれの業務プロセスを細かく把握し、会社や部署の課題を押さえて、どのような状態になれば高いく評価できるかを考えていきましょう。
目標を設定する
従業員自身に目標を設定してもらってもいいでしょう。定期的に面談やミーティングを行い、一人ひとりが自ら目標を設定し、その達成度合いを評価に活かすことも一つの方法です。目標を上から与えられるのではなく、自分で目標を設定することで、従業員は高いモチベーションを保てるでしょう。
経理の人事評価は定量的・具体的に
経理はミスが許されない職種であるため、評価が減点方式になりがちです。しかし、減点方式であればミスをしないことを気にするあまりに、積極的な提案や改善への意識は起こりにくいものです。そのため、評価のポイントを設定して加点方式にすることがおすすめです。
そのためには、「ミスをしない」「迅速に処理をする」といったあいまいな方向性ではなく、「○○業務の時間を月に5時間短縮」「月次決算は〇日までに完了させる」といった具体的な評価ポイントを設けるといいでしょう。数字にすることで、理想と現実を客観的に比較できます。目標が具体的であるため、従業員は努力の方向性をつかみやすいでしょう。
厚生労働省のガイドラインも活用しよう
経理の人事評価制度を作る際は、厚生労働省のガイドラインを参考にしてもいいでしょう。
一般的な職種や、特定の業種での職種別に、評価する項目とその度合いが一覧表になっています。
例えば、経理であれば社会人としての基本的な姿勢やビジネスマナーに加えて、簿記や原価計算など経理の専門的な知識や業務におけるチェックポイントもあります。
このガイドラインを基本としてアレンジを加え、自社に合った評価制度を作ってもいいでしょう。
厚生労働省 判定目安表(評価ガイドライン)一覧表
まとめ
経理に限ったことではありませんが、人事評価には、評価する方・される方がともに納得できる客観性が必要です。目指すべき姿や目標を具体的に設定することで、透明性のある評価ができます。
経理の数値目標は、業務にかかる時間や終わらせる期限などを基準に考えるといいでしょう。明確な人事評価制度があれば、経理担当者のモチベーションアップや業務の効率化など、さまざまなメリットが期待できます。ぜひ自社に合った評価制度を設けて、良い循環を生み出しましょう。