経理お役立ちブログ
2023/1/26
一人経理は実際どうなの?メリットやデメリットを経験者が語ります
経理担当者が一人の「一人経理」の会社は多くあります。経営者の中には「負担が大きいのでは…」「ミスが起こるのでは…」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。しかし一人経理にはメリットもあり、一人である点をカバーする方法もあります。この記事では、中小企業で一人経理を経験した筆者が、一人経理のメリットとデメリット、スムーズに業務を進める方法について解説します。
一人経理は大変?担当者目線で見て
一人経理が大変かどうかは担当者や会社にもよりますが、経理業務は専門知識が必要で業務量も多いため、決して楽ではありません。それでも、一人経理ならではのメリットはあります。まずは担当者から見た一人経理について解説します。
担当者から見た一人経理のメリット
同じ業務を担当する人がいない場合は、心細く感じることもあるでしょう。しかし、一人経理には幅広い経験のチャンスと裁量の広さがあります。具体的なメリットを見ていきましょう。
1. スキルアップできる
一人経理は幅広い業務を担当するため、経理業務全般が身につきスキルアップできます。会社全体の状況を数字で記録・管理する中で、経営や会社運営についての知識も身に付きます。総務や人事にも関わることがあるため、経理にとどまらない幅広い知識・経験を得られるでしょう。
2. 業務の順番や時間を自由に決められる
一人経理は比較的自由に業務を進めることができます。営業や製造などの他部門と連携する機会もありますが、日常的な業務は一人で行うものが大半です。期限を守って正確な業務を行うことが前提ですが、柔軟にスケジュールを組んで業務ができます。
3. 自分の業務に集中できる
一人経理の場合は、会議や打ち合わせが少ないため、自分の業務に集中して仕事ができます。正確性が求められる経理業務では、集中しやすい環境は大きなメリットです。
担当者から見た一人経理のデメリット
一人経理には、一人であるがゆえのデメリットもあります。経理は責任が重く、期限のある業務も多いため、すべきことはきちんと行わなければなりません。具体的なデメリットを見ていきましょう。
1. 責任が重い
経理に関することはすべて一人でしなければならず、お金を扱う業務であるため責任は重大です。そのため、仕事が終わらなければ残業などでカバーし、ミスのないように細心の注意を払わなければなりません。特に決算時期は、日常的な業務に決算業務も加わるため、負担が大きくなります。
2. 休みを取りにくい
一人経理の担当者が休んだ日は経理業務が回らないため、休みを取りづらいというデメリットがあります。特に、急に休みを取らなければならない場合の対処法については、あらかじめ経営者や社長と相談しておく必要があるでしょう。
3. わからないことを確認したり相談したりできる人がいない
一人経理の場合は、すぐに誰かに質問して疑問を解決できません。書籍やインターネットで調べたり学んだりする場面も出てきます。筆者は日商簿記2級を取得していましたが、「恐らくこういう処理だろうな」と予想はできても自信のないときに、都度インターネットで確認しながら処理を行っていました。
経営者から見た一人経理は?
経営者は経営状況を把握するために、担当者に詳しいことを聞く場面も多くなります。頼りになる担当者がいれば経営者は安心ですが、デメリットも理解しておく必要があります。
ここでは、経営者から見た一人経理のメリットとデメリットについて解説します。
経営者にとっての一人経理のメリット
経営者は何かと忙しいものです。そのため、頼りになる経理担当者がいれば心強いでしょう。経営者にとっての一人経理のメリットを紹介します。
1. 確認すべき人が決まっている
経理担当者が一人なら、疑問や確認事項を「誰に聞けばいい?」と考えることなく確認できます。忙しい経営者にとってスムーズに現状を把握できるのは大きなメリットです。
2. 人件費が少なくて済む
従業員を雇用するには、給与や手当、法定福利費、福利厚生費などの人件費がかかります。1年間に1人数百万円になるため、経理の担当者が一人であれば人件費を大幅に抑えることができます。
特に最近は経理人材が不足していると言われており、人材の採用が難しい環境にあります。
(関連記事)経理人材が不足する原因は?その解決策は?
経営者にとっての一人経理のデメリット
一方で、経理担当者が一人であるがゆえのデメリットもあります。
1. 担当者が休みを取ったり退職したりすると業務が進まない
経理担当者が急に休みを取った場合や退職をした場合は、経理業務が滞ってしまいます。一人経理であることは、こうしたリスクと隣り合わせでもあります。
2. 不正やミスのリスクがある
経理業務が属人化すると、業務内容に細かいチェックが入りにくいため、ミスや不正のリスクが高まります。日々の記帳は決算書にまで影響し、支払に間違いがあれば取引先からの信用にも関わります。横領されたお金が返ってこず、会社の資金繰りにダメージを与えた例も少なくありません。ミスや不正を防止する管理体制を整えておく必要があります。
(関連記事)属人化している経理業務の問題点とその対応方法
一人で経理業務をスムーズに進めるためには
一人経理は自由度が高いといっても、仕事はきちんと進めなければなりません。そこで、一人で経理業務を行うポイントを、筆者が気を付けていたことも含めて紹介します。
1. 業務についてしっかりと把握する
業務の内容や期限について把握しておくことが大切です。経理業務は幅広く、支払期限や振込日、月次決算の締めや決算書の作成・納税など、終わらせるべき期限のある業務が多くあります。「何を」「いつまでに」という点を重視して、優先順位を付けて業務を進めましょう。
2. 確認や連絡をこまめに行う
月次決算なら社長や経営者、棚卸なら製造、請求書や納品書なら営業など、他部門と連携を取る場面もあります。相手が忙しければすぐに話せないこともあるため、こまめに連絡や確認を取り、わからないことは早めになくしておきましょう。
筆者は直属の上司がおらず、ミスをすれば社長に報告しなければなりませんでした。そのため、日頃から社長と話したり、不明点を確認したりして、円滑なコミュニケーションを心掛けていました。
3. 人を頼る
自分で調べても疑問を解決できない場合は、社外の人を頼ることも視野に入れましょう。顧問の会計事務所や税理士事務所、税務署など、いざというときに頼れる先があると精神的な負担も軽減します。筆者は、わからないことがあれば顧問契約を結んでいた会計事務所に都度質問しながら進めていました。
4. クラウドサービス・ツールを利用する
クラウドの会計ソフトや給与計算ソフト、経費精算ツールなど、経理の負担を軽減するサービスやツールは多くあります。費用は掛かりますが、導入によって業務がスムーズになるなら検討の価値はあるでしょう。
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5.経理業務のアウトソーシング(経理代行)を活用する
経理業務のアウトソーシングを利用して、人手を増やすことも一つの方法です。決算時期など、忙しい時期だけの利用も可能ですし、記帳や給与計算など毎月ある業務をアウトソースすることもできます。アウトソーシングスタッフは経理を専門的に行うプロであるため、安心して業務を任せられます。
(関連記事)経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット
まとめ
経理という重要な業務を一人に任せることにはリスクもあります。しかし、人件費を考えると簡単に人員を増やせるものではありません。担当者の工夫や社内体制の整備に加えて、便利なサービスやツールを用いながら、一人経理でもスムーズに業務ができる環境にしていきましょう。