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2025/2/6

ダイレクト納付を使って税金の支払も効率化!始め方や注意点を解説

税金の納付業務を効率化する「ダイレクト納付」をご存じですか?専用のシステム上で申請・設定すれば、無料で簡単に納税ができるようになる仕組みです。この記事では、ダイレクト納付のできるシステムや税金の種類、始め方まで詳しく解説します。

 

ダイレクト納付とは?

ダイレクト納付とは、システムを通して口座から引き落とす形で税金の納付ができる仕組みのことです。

国税はe-Tax(イータックス)、地方税はeLTAX(エルタックス)でダイレクト納付が可能です。それぞれのシステムで納付できる具体的な税目のうち主なものは以下の通りです。

 

システムの種類 税金の種類 具体的な税目の例
e-Tax

(国税電子申告・納付システム)

国税 源泉所得税・法人税・地方法人税・消費税など
eLTAX

(地方税ポータルシステム)

地方税 住民税(特別徴収)・地方法人税・事業税

e-TaxやeLTAXを使えば、電子申告や納付情報の登録ができます。ダイレクト納付なら、そのまま同じシステム上で効率的に納税が可能です。

 

 

ダイレクト納付のメリット

e-TaxやeLTAXでは、ダイレクト納付のほか、インターネットバンキングやクレジットカード、ATMなどでの納付が可能です。中でも、ダイレクト納付にはさまざまなメリットがあります。以下で詳しくみていきましょう。

 

納付が簡単になる

ダイレクト納付には事前の準備や手続きは必要であるものの、納付時の面倒な納付書の記入や金融機関への訪問は不要です。システム上でスムーズかつ迅速に納税ができるため、経理業務を効率化できるでしょう。税理士に申告とダイレクト納付の設定を依頼することにより、ご自身で何もせずに納税まで済ませることも可能です。なお、インターネットバンキングを利用していない方も、ダイレクト納付が可能です。

 

短時間で納付できる

パソコンとインターネット環境があれば、どこからでもダイレクト納付が可能です。金融機関への移動時間や、窓口・ATMの待ち時間が不要のため、納税に時間がかかりません。

 

金融機関の営業時間を気にする必要がない

e-TaxやeLTAXを使えば、24時間いつでもダイレクト納付が可能です。多くの金融機関は15時までの営業ですが、ダイレクト納付では金融機関の営業時間を気にする必要がありません。

なお、メンテナンスによりe-TaxやeLTAXを利用できない場合もあります。ホームページでメンテナンスのスケジュールが公開されているため、あらかじめ調べておくことをおすすめします。

 

引き落とし日を指定できる

納付する税金の引き落とし日を指定できることも、ダイレクト納付のメリットです。引き落とし日を、即日ではなく特定の日に設定できます。

なお、e-TaxやeLTAXでインターネットバンキングを使う場合は、即日の納付扱いとなり、日付の指定はできません。

 

手数料がかからない

e-TaxやeLTAXのダイレクト納付であれば、手数料は無料です。

インターネットバンキングやATMでの納付では、引き落としの手数料が発生する場合があります。費用をかけずに納税できる点も、ダイレクト納付のメリットです。

 

 

ダイレクト納付の始め方

ダイレクト納付を始めるには、事前の準備が必要です。以下では、e-TaxとeLTAXの始め方をそれぞれ紹介します。

 

e-Tax

e-Taxを使い始めるために、まずは16桁の利用者識別番号を取得します。主な方法には以下の3つがあります。

 

1.書面によって「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を管轄の税務署に提出する

2.オンラインの「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を利用して管轄の税務署に送信する

https://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi_confirm.htm

3.e-Taxのログイン画面の「初めての方はアカウント作成」から手続きを行う

https://www.e-tax.nta.go.jp/

 

2の場合は、情報を入力して送信することで、即時に利用者識別番号と暗証番号の通知を受けられます。

 

3の場合は、個人であればマイナンバーカードやスマホ用電子証明書を使えます。読み取り方法は、スマホを使う方法(マイナポータルアプリのインストールが必要)とICカードリーダーを使う方法があります。マイナンバーカードがない場合は、情報の入力のみでも利用者識別番号を取得できます。法人の場合は、法人番号や法人名、納税地の情報などを入力します。

 

ダイレクト納付に対応可能な金融機関の口座も必要です。引き落とし先に利用したい口座が、ダイレクト納付に対応しているかを確認しておきましょう。対応している金融機関は、以下で確認できます。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/kinyu.htm

 

次に、「ダイレクト納付利用届出書」を提出しましょう。書面での提出であれば、利用できるようになるまでに1ヶ月程度かかります。e-Taxソフト上でのオンライン申請であれば、1週間程度でダイレクト納付が利用できるようになります。メッセージボックスに登録完了のメッセージが届くため、確認しましょう。

 

ダイレクト納付を行う前に、以下の項目を登録することも必要です。

・納税用認番号

・納税者用カナ氏名・名称

・メールアドレス(任意)

 

eLTAX

eLTAXを使い始めるために、まずは以下の準備をしておきましょう。

・メールアドレスの取得

・電子証明書の取得

・パソコンの利用環境の準備確認

 

その上で、以下のいずれかの方法でeLTAXの利用者IDを取得します。

 

  1. eLTAXのホームページの「利用届出」ページから申請する

https://www.eltax.lta.go.jp/riyoutodokede/

2.eLTAXホームページの「PCdeskの特徴と取得方法」ページから申請する

https://www.eltax.lta.go.jp/eltax/software/

 

いずれの方法でも、利用者の情報や提出先の地方公共団体を入力・選択し、電子証明書による電子署名を行い送信します。

 

送信が完了すると、利用者IDと暗証番号が表示されます。ログインに必要な情報であるため、メモに控える・印刷するなどして大切に保管しましょう。

 

ダイレクト納付は、eLTAXを使うためのソフトウェア「PCdesk(ピーシーデスク)」を使って行います。PCdeskに税金を引き落とす口座を登録しておきましょう。ダイレクト納付のできる金融機関は、以下で確認できます。

https://www.eltax.lta.go.jp/kyoutsuunouzei/kinyukikan/

 

次に、PCdeskから「地方税ダイレクト納付口座振替依頼書」を印刷し、金融機関へ郵送します。この手続きはオンラインでは行えません。

 

金融機関による審査に通過すると、ダイレクト納付ができるようになります。eLTAXのメッセージボックスに通知が入るため、確認しましょう。郵送した依頼書に不備があれば、修正しなければなりません。

 

 

ダイレクト納付の進め方

事前準備ができたら、早速ダイレクト納付をしてみましょう。以下では、e-TaxとeLTAXそれぞれの進め方を紹介します。

 

e-Tax

e-Taxで申告や納付情報のデータを送信すると、メッセージボックスに「納付区分番号通知」が届きます。その中のダイレクト納付に関する項目で「今すぐに納付される方」「納付日を指定される方」のいずれかを選択することで、ダイレクト納付の手続きができます。

納付手続きが完了すれば、口座から引き落としが実行され、メッセージボックスに「ダイレクト納付完了通知」が届きます。引き落としできなかった場合は「ダイレクト納付エラー通知」が届くため、納付手続き後はメッセージボックスを確認しましょう。

 

eLTAX

PCdeskで申告データや納付用の基本情報を入力し送信することで、「納付情報の発行依頼」を行います。次にeLTAXの「納付情報の確認・納付」を選択すると、納付情報を確認できる画面に移動します。ダイレクト納付をしたい納付情報を選択し、納付方法に「ダイレクト方式」を選択して「次へ」をクリックすることで、手続きが完了します。

e-Taxと同様に、納付手続きが完了すれば引き落としが行われ、メッセージボックスに「納付完了通知」が届きます。引き落としできなかった場合は「エラー通知」が届くため、メッセージボックスの確認を忘れずに行いましょう。

 

 

まとめ

e-TaxやeLTAXのダイレクト納付では、事業用の口座から引き落とす形でスピーディーな納税が可能です。自宅やオフィスから短時間で納税でき、無料で使える便利な仕組みです。事前の申請や手続きをしてしまえば、以降は簡単に納税ができるようになるため、まだ使い始めていない方はぜひ活用して、経理業務の効率化を図りましょう。