経理お役立ちブログ

2025/4/20
経理アウトソーシングで失敗しないための委託先の選び方
これから経理アウトソーシングの導入を考える会社は、業務の効率化や継続性を図ることを目的としていることでしょう。しかし、業務を委託するアウトソーシング先(アウトソーサー)を間違えると、効率化を図るどころか失敗に終わってしまうことも決して少なくはありません。経理アウトソーシングを成功させるためには自社にあったアウトソーシング先を見つけることが必須です。アウトソーシング先を探すにあたって、今回の記事をぜひ参考にしてください。
経理アウトソーシングの成否は委託先の選定で決まる!
経理業務のアウトソーシングを導入しても、すぐにうまくいくことは稀で、通常は業務がスムーズに回るようになるまで定着するには時間がかかります。一度、選定したアウトソーシング先を変更するとまた同じだけの時間がかかるため、スイッチングコストもかかります。そのため、長期間安定してアウトソースできるアウトソーシング先を見極める必要があります。アウトソーシング先の選定は、経理アウトソーシングを失敗させないための最も重要な要素といえるでしょう。アウトソーシング先は複数の候補を比較し、その中から自社に最も適した会社を選ぶことが重要です。
アウトソーシング先を比較・選定するときの基本ポイント
アウトソーシング先を比較・選定する際には、どの業務をアウトソーシングするのかを明確にし、比較すべき要素を可視化することがポイントとなります。
どの業務をアウトソースするのか明確にする
アウトソーシング先を比較・選定する際、最も重要なのは「自社がどの業務を、どのレベルで任せたいのか」を明確にすることです。業務内容によって求められるスキルや専門性、対応範囲は異なります。たとえば、単純な事務処理を任せるのと、経理や人事など専門性の高い業務を任せるのとでは、必要なアウトソーシング先の能力も変わってきます。また、価格だけで判断するのは危険です。コストが安くても、品質や対応力に問題があれば、かえって手間やリスクが増える可能性もあります。
比較すべき要素を可視化する
複数の候補を比較する際は、「何を基準に比較するか」をあらかじめ整理しておくことが重要です。対応範囲、実績、セキュリティ体制、料金体系、サポート体制など、項目ごとに評価軸を設定し、優先順位をつけることで、自社に最適なパートナーを見極めやすくなります。チェックリスト形式で整理することで、判断が客観的かつ効率的に行えるようになります。
【項目別解説】アウトソーシング先比較チェックリスト
アウトソーシング先を比較するには次のような項目別に検討するとよいでしょう。
(1) 業務内容・対応範囲
当然のことながら、まずは依頼したい業務に対応しているかをどうかを確認しましょう。
また業務に対応している場合も、自社に合わせた形での導入が可能かも確認しておくとよいでしょう。アウトソーシング会社によっては予め決まったフローでなければ受託していないこともあります。この場合は、会社の業務フローの見直しが必要となります。
(2) 実績・専門性
同業種や同規模の会社でのアウトソーシングの実績があるかどうかを確認しましょう。特に規模の大きい会社の場合は同規模の実績は重要となります。また、担当者のスキルや資格など専門性についても確認しましょう。
(3)コミュニケーション体制
コミュニケーション体制は、業務を円滑に進めるうえで非常に重要な要素です。問い合わせや相談に対するレスポンスの早さ、対応の丁寧さ、情報共有の正確さは、業務の質にも直結します。また、担当者が明確に決まっており、継続的に対応してくれる体制があると、信頼関係も築きやすくなります。定期的なミーティングや報告の有無、緊急時の連絡手段なども事前に確認しておくとよいでしょう。特にリモートや非対面でのやり取りが多い現代においては、スムーズなコミュニケーションができるかどうかが、アウトソーシング先を選定する際の大きなポイントになります。
(4)セキュリティ・コンプライアンス対応
経理業務においては会社の重要な情報を取り扱います。そのため、セキュリティ・コンプライアンス体制は、アウトソーシング先の選定において欠かせない評価項目です。特に個人情報や機密情報を扱う業務では、情報漏えいや不正アクセスを防ぐための対策が講じられているかを確認することが重要です。社内規定の整備、アクセス権限管理、データの暗号化などの基本対策に加え、PマークやISO27001などの第三者認証を取得しているかどうかも信頼の指標となります。また、法令順守の意識や、万一のインシデント発生時に迅速な対応ができる体制があるかもチェックポイントです。安全性と信頼性の高いパートナーを選ぶことで、長期間にわたって安心して業務を任せることができます。
(5)コストと契約条件
料金体系と契約条件については必ず確認しましょう。
料金体系は、導入時のイニシャルコスト(初期費用)がかかるかどうか、定額か従量かなどを確認しましょう。また、最低契約期間や途中解約にあたっての条件が設けられるケースもありますので、確認しておきましょう。
(関連記事)経理業務のアウトソーシングの料金体系や相場について解説
(6)サポート体制・柔軟性
サポート体制と柔軟性は、アウトソーサー選定において見落としがちな重要ポイントです。万が一トラブルが発生した際、迅速かつ的確に対応できる体制があるかどうかは、信頼性に直結します。また、自社の業務内容が変化した際に、柔軟に対応してもらえるかも重要です。柔軟な姿勢を持つパートナーは、長期的な関係構築にも有利です。
(7)スケーラビリティ
スケーラビリティとは、業務量の増加に応じて柔軟に対応できる能力を指します。たとえば、繁忙期や新規事業の立ち上げなどで業務が急増した際に、対応体制をスムーズに拡張できるアウトソーシング先は非常に心強い存在です。業務量への対応ができなければ、そのタイミングで新たなアウトソーシング先を探さなければなりません。スケーラビリティに優れたパートナーは、長期的な成長や変化に寄り添ってくれるため、単なる「外注先」ではなく「ビジネスパートナー」として信頼できる存在になります。
(8)DX対応
経理アウトソーシングを導入する際には何かしらの業務プロセスの見直しが必要です。これまでDX化が図られておらず、業務の非効率が生じているような場合は、DX化・効率化を図る絶好の機会となります。DXに強い会社であれば、経理業務の効率化を図るための提案もしてくれることでしょう。
(関連記事)経理業務のDXにはコンサルティング導入を!メリットと導入方法、注意点を解説
(9)評価・評判
ホームページや第三者サイトなどで実績が公開されている場合は、実際にサービスを利用した企業の声を確認するとよいでしょう。特に同業種・同規模の企業からの評価は、自社にとっての相性を判断する手がかりにもなります。
アウトソーシング先比較チェックリスト活用のコツ
先ほどの項で、一般的なチェック項目を解説しました。その他にも自社が求める要件がないかどうかを先に洗い出ししておく必要があります。評価項目が決まれば、チェックリストを使って、複数の候補先を論理的に比較できるようにしましょう。
まずは自社にあった評価項目の洗い出し
アウトソーシング先を比較・検討する際、チェックリストを活用することで判断の軸がぶれず、客観的な評価が可能になります。まずは、自社にとって重要な評価項目を洗い出し、業務内容や優先順位に応じてチェック項目に重みをつけましょう。すべての項目を均等に評価するのではなく、「必須条件」と「できれば望ましい条件」に分けておくと、判断がスムーズになります。
チェックリストを使って論理的に比較しよう
複数の候補を並べて一覧で比較できるよう、Excelやスプレッドシート形式にするのがおすすめです。チーム内で情報を共有しやすくなり、複数の視点から検討できるメリットもあります。さらに、数値や記号(◎○△など)を使ってスコア化すれば、感覚ではなく論理的に比較できます。最後に、各項目にメモ欄を設けておくと、面談やヒアリングで得た情報を記録でき、後からの見直しにも役立ちます。チェックリストは「選定のための資料」としてだけでなく、社内での意思決定を後押しするツールとしても有効です。
まとめ
経理業務のアウトソーシング導入にあたって、アウトソーシング先を選定する際は慎重に、かつ、効率的に行うようにしましょう。その際は、チェックリストを活用して、複数候補を比較することで、論理的に比較でき、社内での意思決定もスムーズに進みます。経理業務のアウトソーシングで失敗しないために、今回の記事を参考にしてください。
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