経理お役立ちブログ

2023/1/23

アウトソーシングと人材派遣の違いやメリット・デメリットについて解説

昨今、経理人材は不足していると言われています。人材不足に対応するための選択肢としてアウトソーシングや人材派遣を利用することが考えられます。アウトソーシングと人材派遣にはどのような違いがあるのでしょうか?今回はアウトソーシングと人材派遣の違いについて解説します。

 

 

 

アウトソーシングと人材派遣の違い

昨今の人材不足に対応するための方法にアウトソーシングや人材派遣の利用が挙げられます。このアウトソーシングと人材派遣はどう違うのでしょうか?

 

アウトソーシングとは?

まず、アウトソーシングについて説明します。

アウトソーシングとは、業務の全部または一部を外部に委託することです。BPO(Business Process Outsourcing)ともいいます。契約形態としては準委任契約か請負契約となります。また、経理業務のアウトソーシングのことを経理代行ともいいます。

人材派遣が人材に対価を支払う方法であるのに対し、アウトソーシングは成果物や業務そのものに対価を支払う方法です。そのため、人材に会社に入ってもらうのではなく、業務を会社の外部に発注するという形式になります。アウトソーシング先によっては、会社に常駐して業務を行ってもらえるものもあります。

(関連記事)必要に応じて使える経理業務のアウトソーシング(経理代行)

 

 

人材派遣とは?

人材派遣とは、派遣会社(派遣元)が委託先(派遣先)に対して、派遣会社が雇用するスタッフを派遣する契約のことをいいます。

 

人材派遣には、以下の3つの種類があります。

 

1.登録型派遣

登録型派遣では、派遣会社の契約社員として登録されたスタッフが会社に派遣されます。契約期間は法律で3年までとされており、3年を超えて働いてもらいたい場合は直接雇用に切り替えなければなりません。一般的に「派遣」と呼ばれているものの多くがこの形式です。

 

2.常用型派遣

常用型派遣は、派遣会社の正社員が派遣されるものです。契約期間の制限がないため、3年を超えて働いてもらうことができます。「無期雇用派遣」「特定派遣」と呼ばれることもあります。専門性のある人材を柔軟に活用できるという特徴があり、経理専門の人材派遣でこの形式をとっているサービスもあります。

 

3.紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、正社員となることを前提としたもので、派遣社員としては最大6ヶ月と期限が決まっています。ゆくゆくは正社員となる人材を求める会社におすすめです。

 

アウトソーシングと人材派遣はそれぞれ特徴が違いますから、その特徴をよく理解した上で、活用するとよいでしょう。

 

(関連記事)経理人材が不足する原因は?その解決策は?

 

 

 

アウトソーシングと人材派遣の特徴、メリット・デメリット

次に、アウトソーシングと人材派遣、それぞれのメリット・デメリットを4つの観点から解説します。

 

1.管理監督を誰が行うか?

 アウトソーシング業務は、一般的に準委任契約か請負契約となり、一定の業務の完了や成果物を提供することがアウトソーシング会社の責任となります。作業者の管理監督はアウトソーシング会社が行いますし、実施した業務に不備があった場合は、アウトソーシング会社が対応することとなります。

 

 一方、人材派遣の場合は、必要な能力を持った人材を派遣することが人材派遣会社の責任です。派遣された人材に対する指示や管理・監督は、受け入れ先の会社側で行わなければなりません。

 

 管理監督の負担から解放されるという点では、アウトソーシングにメリットがあります。

 

 

2.業務の引継ぎは誰が行うか?

 アウトソーシングの場合、人材派遣の場合、いずれにおいても、作業をしていた人が退職などで業務を離れる可能性はあります。職業選択の自由がありますから、それは絶対に避けられないリスクです。

 

 退職などで業務を離れることとなった場合でも、アウトソーシングであれば、アウトソーシング会社が交代要員を配置し、業務を継続できるように引継ぎを行います。まったく支障がないということにはならないかもしれませんが、比較的スムーズに業務を継続することができるでしょう。

 

 一方、人材派遣の場合、人材派遣会社は交代要員を派遣してくれますが、引継ぎなどについては行ってくれません。新たな人材を受け入れ、その人材に対して最初から業務の引継ぎや育成をしていかなければなりません。

 

 人材が交代する時の負担という点では、アウトソーシングにメリットがあります。

 

 

3.契約期間に縛りはあるか?

 どちらも契約期間は契約等で任意に定めることができます。

 

 しかし、人材派遣の場合は、同じ人が同じ事業所で3年を超えて働くことは、基本的にできないことや一定の場合に派遣先に雇用義務や努力義務などが生じることなど、派遣法上の制限があります。

 

 アウトソーシングはそのような義務は生じませんから、契約期間が到来するなどし、依頼する必要がなくなった場合は、契約を解消することができます。

 

 契約期間の柔軟性という点では、アウトソーシングにメリットがあります。

 

4.コストはどちらが安い?

 ここで説明してきたように、アウトソーシング会社は、人材派遣よりも重い責任を持つこととなります。

 そのため、一般的にはアウトソーシング会社にアウトソースする方が、人材派遣を利用するよりもコストは高くなります。

 したがって、コストの観点では人材派遣にメリットがあります。

 

(関連記事)経理業務をアウトソーシングするメリット・デメリット

 

 

 

人材派遣とアウトソーシングに共通するメリット

人材派遣とアウトソーシングは、どちらも正社員を雇用せずに人手を確保できる方法です。両者の仕組みは大きく異なりますが、共通するメリットもあります。

 

採用コストを削減できる

正社員を採用するには、募集・選考・育成というステップが必要であり、すぐに人材を確保できるわけではありません。優秀な人員が集まるかどうかもわからないなかで採用活動を行うため、時間がかかることは覚悟する必要があります。また、正社員を雇用する場合は、ひと月に数十万円の給与が発生します。年間にすると数百万円になるため、正社員を雇用したくても費用面で厳しいという会社も多いでしょう。そこで人材派遣やアウトソーシングを利用することで、比較的短期間で費用も抑えながら、経理の人手を確保できます。

 

労務コストを削減できる

人材派遣やアウトソーシングを利用することで、給与計算や社会保険、勤怠管理など、労務面のコストもかかりません。人材派遣の場合は、派遣社員の労務管理は派遣会社が行ってくれます。アウトソーシングでも、アウトソーシング先の社員やスタッフが業務を行うため、労務管理は不要です。

 

費用の調整がしやすい

時期によって繁閑の激しい経理業務ですが、人材派遣やアウトソーシングを利用すれば繁閑に応じてコストをかけることができます。普段は自社で業務を回し、会社の繁忙期や決算時期のみヘルプに入ってもらうという、必要に応じた利用が可能です。

 

業務フローの改善

人材派遣やアウトソーシングを利用するなら、派遣社員や担当者が経理のプロであったとしても、自社の業務を整理して引き継ぐことは必要です。そのなかで、無駄なプロセスや利用するシステムの見直しを行えば経理業務自体がスリムになり、効率よく進められるでしょう。業務フローを改善する良い機会となります。

 

 

 

アウトソーシングと人材派遣、それぞれが適している場面とは?

アウトソーシングと人材派遣はそれぞれ特徴があるため、それぞれが適している場面というのはあるのでしょうか?

まず、人材派遣が適している場面について説明します。

ここまで説明してきたとおり、人材派遣は人員の補充という要素が強くあり、その人員に対する教育や育成、仕事の管理は派遣先の会社が行わなければなりません。

そうなると、しっかりとした業務マニュアルが整備されている場合、比較的単純な作業を任せたい場合、上司となる者が育成や監督を行うことができる状況にある場合などが適してくることになるでしょう。

一方、アウトソーシングは、責任者は、主に成果物の品質をチェックすることが役割となり、育成や監督の負担からは解放されます。忙しくて部下を育成、監督できる者がいないような場合にはアウトソーシングが適している可能性があります。

 

 

 

まとめ

アウトソーシングと人材派遣の違いについて解説しました。人材派遣の場合は、派遣法なども理解しておく必要があります。それぞれのメリットやデメリットを理解した上で、うまく使い分けることが、経理業務の効率化を図ることにも繋がるでしょう。