経理お役立ちブログ
2022/10/15
経理業務で扱う書類について解説!種類や保存期間などの基礎を理解しよう
経理業務で扱う書類の種類は多く、量も膨大であるため、適切に整理をして保存しておく必要があります。経理に関する書類は重要であるため、過去のものであっても一定期間は管理して保存を行わなければなりません。この記事では、経理の書類の種類や保存期間を整理し、保存の必要性や方法について解説します。
経理の書類の分類
経理業務では多くの書類を扱いますが、大きく「帳票」と「証憑」の2つに分類できます。詳しく見ていきましょう。
1.帳票
帳票は経理業務において最も身近な書類の一つで、「帳簿」と「伝票」に分けられます。
帳簿とは、取引をまとめて記録したものです。すべての取引を1つにまとめている「主要簿」と、知りたい情報によって補助的に使う「補助簿」があり、以下のような種類があります。
主要簿 | ・仕訳帳
・総勘定元帳 ・日記帳 |
補助簿 | ・得意先元帳
・仕入先元帳 ・現金出納帳 ・固定資産台帳 ・売掛金元帳 ・買掛金元帳 など |
主要簿の「仕訳帳」と「総勘定元帳」は作成の義務があります。「日記帳」は会計ソフトを使う場合は、仕訳入力を行うことで自動的に作成されることが一般的です。補助簿は必要に応じて作成するもので、会社によって作成するものは異なります。
伝票とは、お金の支払や受取、物品の出し入れ、売上や仕入など、一つひとつの取引が発生するごとに作成する紙片のことです。独自の様式を使ったり市販のものを使ったりと様々ですが、一定の様式の紙片を用いて行い、取引の内容を記載する「起票」を行います。伝票にも種類があり、以下のものが一般的に使われています。
・振替伝票
・入金伝票
・出金伝票
・仕入伝票
・売上伝票
どの伝票を使うかは会社によって異なり、このほかにも「会計伝票」「返品伝票」などの伝票を必要に応じて使うこともあります。取引があればまず伝票を作成し、その内容を転記して帳簿を作成します。また、伝票は仕訳帳の代わりにもなり、作成も簡単です。複数人での処理もしやすく、多くの会社で使われています。
帳票の作成は、経理の日々の仕事の多くを占めています。これらの集大成として決算書類が作られるため、正確性を要する重要な業務です。
2.証憑
「しょうひょう」と読むこの言葉は、経理担当者であっても馴染みのない方もいるかもしれません。証憑は、取引が本当に行われたか、その内容は正しいものかを証明する書類です。イメージしにくい言葉ですが、具体的な書類は経理業務でよく扱うものばかりです。
・見積書
・発注書・注文書
・納品書
・請求書
・契約書
・領収書・レシート
以上は外部との取引に用いられるものの例ですが、社内で取り交わす以下のような書類も証憑となります。
・製造指図書
・出荷指図書
・入出庫伝票
・稟議書
取引の証拠として、伝票を起票する際の大元となる重要な書類です。厳重に管理できていない場合は、会社の信用にも関わります。種類も量も多いものですが、整理のルールを決めて確実に保管しましょう。
3.その他
給与計算などの賃金に関わる業務は、会社によって行う部署が異なるもので、経理が行うこともあります。その場合は、関連する書類はまとめて適切に整理・保存しておきましょう。
どうして経理書類の保存が必要なのか?
経理業務で扱う書類は、処理が終わってもすぐに処分してはいけません。書類の種類を把握し、適切な期間にわたって保存する必要があります。その理由について、いろいろな面から見ていきましょう。
1.法律で定められているから
経理の書類は法律によって一定期間の保存が義務付けられています。なぜなら、事業年度の決算処理が終わってから税務署に申告内容の確認を求められたり、欠損金の繰越や税金の控除に過去の書類が必要とされたりすることがあるからです。以下のように保存期間が定められています。
会社法 | ・決算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書など)
・総勘定元帳、仕訳帳 |
10年 |
法人税法 | ・帳簿
・証憑 ・源泉徴収簿、扶養控除・配偶者控除などに関わる申告書 |
7年 |
電子帳簿保存法 | ・電子保存を行う帳簿 | 7年 |
労働基準法 | ・賃金台帳
・賃金に関する書類 |
5年 |
2.取引の重要な証拠や記録であるから
経理で扱う書類はどれも会社の活動に関連する書類です。業務を進める中で、前年の実績と比較したり、取引の履歴を確認したりといった作業が必要になる局面もあります。過去の書類は取引の真実性や妥当性を担保する、会社にとって貴重な資料です。そのためため、簡単に処分してはいけません。
3.業務効率に影響するから
過去の書類を確認したいときに、膨大な中から必要な書類を見つけられるようにするためには、日頃から整理して保存することが大切です。整理されていれば迅速に目的の書類を見つけられ業務がスムーズに進みますが、整理されていなければ見つけるのに苦労するでしょう。日々書類を適切に保存していれば、いざというときに役に立つものです。
4.税務調査に備える必要があるから
国税庁の税務調査は周期が決まっておらず、不定期に行われます。5~7年分をさかのぼって調査することが認められているため、決算後少なくともその期間の書類を保存しておく必要があります。税務調査は事前に通知されるものの、当日までに様々な書類を閲覧できるよう準備しなければなりません。書類の種類だけでなく、いつの事業年度のものか、いつからいつまでのものかなど、期間ごとにも探しやすいようにしておきましょう。
経理書類の保存方法
1.紙での保存
国を挙げてペーパーレスが推進されていますが、まだまだ紙の書類は多いものです。紙の場合は、整理のためのルールを設けて、種類や期間ごとにファイリングしておきましょう。収納のためのスペースを確保する必要もあります。整理のルールは、誰にでもわかりやすく簡単に実践できるルールを設けましょう。経理はただでさえ業務量が多いため、複雑で細かいルールにしてしまうと手間が増え、整理が後回しになってしまえば本末転倒です。
2.電子データでの保存
会計ソフトなどによって電子的に作成した帳簿書類は、電子データでの保存ができます。また、2022年の電子帳簿保存法の改正により、インターネットを通じて電子データで授受した書類は紙での保存が認められなくなり、電子データでの保存が義務付けられました。
電子データでの保存を行う場合でも、紙と同様に何がどこにあるかが把握しやすい仕組みを作りましょう。必要なものを迅速に見つけるための検索性も必須です。また、書類をスキャンして電子データで保存する場合は、解像度や色にも注意してデータの可視性を確保しましょう。
(関連記事)電子帳簿保存法とは?内容や対応の要点を分かりやすく解説します
まとめ
経理の書類は多くの種類がありますが、帳簿と証憑のどちらであるかを理解することでとらえやすくなったのではないでしょうか。ペーパーレスを推進する流れから、書類の電子データ保存へのハードルも低くなってきており、様々なソフトやツールも開発されています。今後もこの流れは一層加速すると見られるため、この機会に管理方法を見直してみてはいかがでしょうか。その際には、やはり書類の種類を理解することは必要です。そのためにこの記事をお役立ていただければ嬉しく思います。